中島みゆきは作詞家レベルを超えた詩人であり言葉のアーティスト
昭和から平成にかけて活躍しているトップクラスのシンガーソングライターです。
プロフィール&バイオグラフィを簡単に紹介します。
1975年、第10回ポピュラーソングコンテスト(略称/ポプコン、主催/ヤマハ音楽振興会 )参加曲「時代」でグランプリを受賞した。
同年の第6回世界歌謡祭でもグランプリを受賞。「時代」は同年12月に2作目のシングルとして発売。これをきっかけにミュージシャンとしての実力を確実に積み重ねていった。
実はCDでのデビューは1975年9月25日「アザミ嬢のララバイ」でした。
この年の5月、第9回ポプコン参加曲「傷ついた翼」で入賞がきっかけですが、第10回「時代」のグランプリ受賞が大きな転機になった。
ただ、「時代」はヒットしましたがオリコン14位でした。その後、1977年5枚目のシングル「わかれうた」が大ブレーク。
11枚目「悪女」などチャート1位が続いた。
4つの年代にわたって一位獲得した唯一のソロアーティストです。
楽曲提供者としての中島みゆきの活動も注目を浴び、研ナオコ、工藤静香、柏原芳恵など数多くミュージシャンに楽曲提供している。
2009年11月3日、紫綬褒章を受章。
「糸」~ 発表されたのは1992年アルバム「EAST ASIA」の中の一曲
糸は1992年10月7日に発表されたアルバム「EAST ASIA」の最後に収録されています。
1990年頃、中島みゆきはソングライターとして名声もすでに確立し、8年間務めた、ニッポン放送「オールナイトニッポン」(1979年4月から1987年3月まで)も終了し、新しい試みを模索している時期でした。
そんな時期、1989年9月、渋谷Bunkamuraが誕生した。
その中の複合文化施設シアターコクーンのオープン企画としてホールのプロデュース段階から計画されていたのがコンサート「夜会」です。
1989年11月7日から12月9日までの23日間、20回公演となった。
この時期、中島みゆきは新しい試みとしてかなりのエネルギーを「夜会」に投入していた。
そして3年後にはコンサート「夜会」はプラチナチケットのイベントとなった。
夜会と共に生まれてきた名曲が「誕生」 ~ 「二隻(そう)の舟」 ~ 「糸」なのです。
この頃、並行して録音が進められていたのが20枚目のアルバム「EAST ASIA」でした。
●アルバムEAST ASIAで聴いておくべき名曲「誕生」~ 「二隻(そう)の舟」~ 「糸」
中島みゆきの愛は男女間の愛を超えた人と人との繋がり、絆を訴える言葉です。
そして「誕生」 ~ 「二隻(そう)の舟」~「糸」共通した愛の哲学とスタイルがあります。
・運命的な出逢い(人との繋がり)と絆
・愛を貫く環境の厳しさと生きる力の訴求
・共に生きるが個々それぞれの人生がある。やがて訪れる別れ。最後はひとり。
誕生 →ひとりでも私は生きられるけど、でも誰かとならば人生ははるかに違う。
※人と人とのつながり、絆の大切さを訴求しています。
二隻(そう)の舟 → 私たちは二隻の舟 ひとつずつの そしてひとつの
※ひとつの船に乗って同じ運命をたどる2人では無いのです。それぞれ別の舟で違う波と風を受けながら進んでいく、みゆき独特のスタイルがあります。
糸 → 縦の糸はあなた 横の糸は私 いつか誰かの 傷をかばうかもしれない
※あくまで個々に生きるスタイルがあります。努力する姿勢が必要なことを訴求しています。
まず歌詞のジャンルはざっくり4種類。ラブソング、応援歌、自然賛歌、その他に分かれています。ポップスソングの8割がラブソングです。
一中島みゆきの歌はラブソングのように見えますが、ラブソングを超えた素晴らしい人間応援歌なのです。
そんな歌の力に魅了され「糸」は有名な歌手がこぞってカバーしています。
これまでに延べ20組以上のアーティストにカバーされ、そして結婚式での定番曲として世代を超え愛された。2014年、クリスハートは紅白歌合戦で歌いました。そして2018年2月度有料音楽配信認定でミリオン認定された。
● そして「糸」は神曲となった。
なぜ25年経った今でも話題になるのでしょうか? 「糸」の曲の力、素晴らしさが時間が経つと共に話題になります。2015年、16年に福山雅治、EXILE ATSUSHU、一青窈などこぞってカバー曲として歌いました。CM,ドラマなどにも使われました。それはこの曲が「普遍性のテーマと絶妙な起承転結の構成」で作られているからです。
起 →「運命的な出会い」
承 → 「共に、生きていく絆」
転 → 「やがて訪れる環境の厳しさ」
結 →「生きる力の訴求」
この曲の歌詞で注目するところは「かもしれない」という部分です。
中島みゆきはあくまで未来はわからないと言っています。
あくまでこれからの努力で頑張らないと人は救えないし、個々の糸が弱いと布さえも破れかねないと歌っています。
最後にまた「運命的な人の出逢いと絆」を訴求します。
逢うべき糸に 出逢えることを 人は仕合わせと呼びます
知らないうちに、自分も頑張ろうと思ってしまう詩の凄さ、歌の力が「糸」にはあります。
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